みとかんばい
水戸観梅

冒頭文

四人の切符の赤きを合はせて、紅梅の花に一片足らずと洒落れたる次第にあらず。されど、日曜の回遊列車の半額なるをさけて、土曜にくりあげ、日がへりの急がしきにならはで、『暗香浮動月黄昏』の趣を賞し、『月明林下美人來』の趣をも賞せむとする心根は、花神も汲まるべくや。路づれは三人、臨風となし、天隨となし、蝶二となす。 竹外橋畔、殘んの雪にはあらず。清香までおくり來たるに、水戸の花信もそれと知られ、汽車

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 桂月全集 第二卷 紀行一
  • 興文社内桂月全集刊行會
  • 1922(大正11)年7月9日