たいてしまう
焚いてしまふ

冒頭文

紀元節に学校の式を休んで、翌日もまた学校を休んだ。すると、その晩から熱が出て、風邪の気味になった。私は二階の一室に一人で早くから蒲団を被って寝た。ふと、目が覚めると畳の上に白紙のやうなものが落ちてゐる。それは雨戸の節穴から月の光が洩れて来てゐるのであった。私はわざと腕を伸してその光を掬ってみた。それから窓を開けた。もう夜明けらしく、月は西の空に冴えて居て、ひえびえとした大気が、屋根の霜とともに肌に

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 普及版 原民喜全集第一巻
  • 芳賀書店
  • 1966(昭和41)年2月15日