しゅっぱつ
出発

冒頭文

吉池の不機嫌は母と衝突してみてわかった。 ①着物のことになると如何して女と男は意見が違ふのだらう。 ②意見が違ふと云ふことはそんなに人間の感情を害ねるものだらうか。 ③人間はむしろ感情を損ひたいと云ふ感情に支配されることがありはすまいか。 吉池はAからZまで自分の不機嫌を種々様々に分解してみた。だが、何よりも大切なのは早く不機嫌を取消すことであった。自分が主

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 普及版 原民喜全集第一巻
  • 芳賀書店
  • 1966(昭和41)年2月15日