四丁目の角で二人を見はぐれたのを幸と、川田はぐんぐん勝手な方向へ進んだ。振返ったらまた彼等がやって来さうなので、傍目も振らなかった。眼は怒り、額は愁ひ、短靴はやたらに急いだが、搾めつけられた胸は今やうやく緩んで来た。高層建築の上に濁った秋空が、茫漠とした観念のやうに横はってゐた。そこに川田は、さっきの議論の続きを感じた。 彼等二人は終に論理の釘で川田を身動きさせなかった。そこへ一人が乱暴に鑿を