「うつくしかれ、かなしかれ」 くぼかわいねこさんに
「美しかれ、悲しかれ」 窪川稲子さんに

冒頭文

1 十月六日、鎌倉にて お手紙うれしく拝読いたしました。半年ぶりで軽井沢から鎌倉に戻ってきたばかりで、まだ何か気もちも落ちつかないままにお返事を遅らせておって申訳ありません。 丁度軽井沢を立ってくる前に、いただいた御本の中の「樹々新緑」などをなつかしく拝読して参ったばかりのところへ、又お手紙でその時分のことをいろいろと蘇(よみがえ)らせられ、本当に何から先にとりあげて

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 堀辰雄集 新潮日本文学16
  • 新潮社
  • 1969(昭和44)年11月12日