あわゆき
淡雪

冒頭文

潔が亡くなってから彼是一年になる。露子は彼から感染(うつ)されて居た病気がこの頃可也進んで行った。早くから澄川病院に入院する様に父母を始めみんな勧めたが、潔のもと居た病院ではあるし、露子は気が進まなかった。そんな風に病勢をずるずる引伸して行くうちに、寒に入って凍てつくやうな日々が続いた。 ある日、露子は到頭喀血した。血の色を視ると、急に彼女は周章て出した。居ても立っても居られなく、母に縋

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 普及版 原民喜全集第一巻
  • 芳賀書店
  • 1966(昭和41)年2月15日