こいしかわだい
小石川台

冒頭文

東京に移り住みてより茲に三十年、東京は、第二の故郷なり。その東京にて、居を更へしこと、幾十度なるを知らざるが、感化と印象との最も多く殘れるは、小石川臺也。そは、杉浦重剛先生の稱好塾に寓したれば也。聞く、先生この頃、毎土曜日の夜に、徒を集めて、孫子を講ずと。往いて教を乞はむと欲して、未だ果たさず。夢魂空しく傳通院畔に飛ぶ。茲に一絶を作る。 危機潜在(二)太平日(一)。輕薄爲(レ)賢誠實愚。

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 桂月全集 第二卷 紀行一
  • 興文社内桂月全集刊行會
  • 1922(大正11)年7月9日