ほうじょうよりいちのみやへ
北條より一ノ宮へ

冒頭文

一 人形茶屋 安房北條の海岸に、家を擧つて寓居すること凡そ一箇月。那古に遊び、船形に遊び、洲崎に遊び、鷹ノ島に遊び、沖ノ島に遊び、手ぐり網の船をさへ放ちて、菱花灣上、到る處に我が遊蹤を印しけるが、取りわけて一つ我眼にとまれるものあり。人形茶屋是れ也。 柏崎の海岸にありて、鷹ノ島と相對し、四阿の如きものに壁を付けたるが、屋根の上の中央に、木製の人形の面を置く。面の長さ二尺餘り、眞白に塗り、髮

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 桂月全集 第二卷 紀行一
  • 興文社内桂月全集刊行會
  • 1922(大正11)年7月9日