或る秋の午後、私は、小さな沼がそれを町から完全に隔離している、O夫人の別荘を訪れたのであった。 その別荘に達するには、沼のまわりを迂回(うかい)している一本の小径(こみち)によるほかはないので、その建物が沼に落しているその影とともに、たえず私の目の先にありながら、私はなかなかそれに達することが出来なかった。私が歩きながら何時(いつ)のまにか夢見心地になっていたのは、しかしそのせいばかりで