あづまのもり
吾嬬の森

冒頭文

夜光命と裸男とに、山神を加へて三人、押上にて電車を下り、東に行くこと三町ばかりにして、柳島の妙見堂に至る。堂は先年火災に罹りたるが、新たに建てられたり。されど、靈松は二つながら枯れて、之に代るもの無し。稻荷に狐、妙見に白蛇、知らず、松の空洞の中の白蛇なほ恙なきや否や。近松門左衞門の碑、歌川豐國埋筆の碑などあり。このあたりに名高き橋本といふ料理店を左に見て、妙見橋を渡り、川に沿うて右折して萩寺に至る

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 桂月全集 第二卷 紀行一
  • 興文社内桂月全集刊行會
  • 1922(大正11)年7月9日