こがねいのさくら
小金井の桜

冒頭文

聖武のみかど勅願せさせ給ひけむ、金光明、四天王、護國の國分寺すたれて、遺跡たゞ敗瓦を見る。歌舞の菩薩の戀ヶ窪、香骨、土と化し、烟華の地、野らとかはりて、傾城の松ばかりぞ、むかしながらの色なる。井ノ頭の池ひろく境幽なる處、貫井辨天の小高く眺め開けたる處、絶代の工事、野をつんざいて、清流珠を跳らすこと十數里、兩岸には、吉野の山の山櫻、移し植ゑられて、その幾千萬株なるを知らず。花はさくら、さくらは武藏の

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 桂月全集 第二卷 紀行一
  • 興文社内桂月全集刊行會
  • 1922(大正11)年7月9日