ピストルのつかいかた ――(ぜんだい――ようきゅう)
ピストルの使い方 ――(前題――楊弓)

冒頭文

はじめ、私はこの一篇を、山媛(やまひめ)、また山姫、いずれかにしようと思った。あえて奇を好む次第ではない。また強いて怪談がるつもりでもない。 けれども、現代——たとい地方とはいっても立派な町から、大川を一つ隔てた、近山ながら——時は晩秋、いやもう冬である。薄いのも、半ば染めたのも散り済まして、松山の松のみ翠(みどり)深く、丘は霜のように白い、尾花が銀色を輝かして、処々に朱葉(もみじ)の紅

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成8
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年5月23日