らんとうばのてんにょ
卵塔場の天女

冒頭文

一 時雨に真青(まっさお)なのは蒼鬣魚(かわはぎ)の鰭(ひれ)である。形は小さいが、三十枚ばかりずつ幾山にも並べた、あの暗灰色の菱形(ひしがた)の魚(うお)を、三角形に積んで、下積(したづみ)になったのは、軒下の石に藍(あい)を流して、上の方は、浜の砂をざらざらとそのままだから、海の底のピラミッドを影で覗(のぞ)く鮮(あたらし)さがある。この深秘らしい謎の魚(うお)を、事ともしない、魚屋

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成8
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年5月23日