さくらさくしま みしらぬせかい |
| 桜さく島 見知らぬ世界 |
冒頭文
路(みち)青(あを)い野原(のはら)のなかを、白(しろ)い路(みち)がながく〳〵つヾいた。母(はヽ)とも姉(あね)とも乳母(うば)とも、いまはおぼえもない。おぶさつたその女(をんな)が泣(な)くので、私(わたし)もさそはれてわけはしらずに、ほろ〳〵泣(な)いてゐた。女(をんな)の肩(かた)に頬(ほヽ)をよせると、キモノの花模様(はなもやう)が涙(なみだ)のなかに咲(さ)いたり蕾(つぼ)んだりした、
文字遣い
新字旧仮名
初出
底本
- 桜さく島 見知らぬ世界
- 洛陽堂
- 1912(明治45)年4月24日