くろかべ
黒壁

冒頭文

上 席上の各々方(おのおのがた)、今や予が物語すべき順番の来りしまでに、諸君が語(かたり)給いし種々(くさぐさ)の怪談は、いずれも驚魂奪魄(きょうこんだっぱく)の価値(あたい)なきにあらず。しかれども敢(あえ)て、眼の唯(ただ)一個(ひとつ)なるもの、首の長さの六尺なるもの、鼻の高さの八寸なるもの等、不具的仮装的の怪物を待たずとも、ここに最も簡単にして、しかも能(よ)く一見(いっけん)直ちに慄然

文字遣い

新字新仮名

初出

「詞海 第3輯第9巻、第10巻」1894(明治27)年10月、12月

底本

  • 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2006(平成18)年10月10日