きくあわせ
菊あわせ

冒頭文

「蟹(かに)です、あのすくすくと刺(とげ)のある。……あれは、東京では、まだ珍らしいのですが、魚市をあるいていて、鮒(ふな)、鰡(ぼら)など、潟魚(かたうお)をぴちゃぴちゃ刎(は)ねさせながら売っているのと、おし合って……その茨蟹(いばらがに)が薄暮方(うすくれがた)の焚火のように目についたものですから、つれの婦(おんな)ども、家内と、もう一人、親類の娘をつれております。——ご挨拶をさせますのです

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋」1932(昭和7)年1月号

底本

  • 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2006(平成18)年10月10日