あられふる |
| 霰ふる |
冒頭文
一 若いのと、少し年の上なると…… この二人(ふたり)の婦人(おんな)は、民也(たみや)のためには宿世(すぐせ)からの縁(えん)と見える。ふとした時、思いも懸けない処へ、夢のように姿を露(あら)わす—— ここで、夢のように、と云うものの、実際はそれが夢だった事もないではない。けれども、夢の方は、また……と思うだけで、取り留めもなく、すぐに陽炎(かげろう)の乱るる如く、記憶の裡(うち)から
文字遣い
新字新仮名
初出
「太陽」1912(大正元)年11月号
底本
- 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
- ちくま文庫、筑摩書房
- 2006(平成18)年10月10日