ちほうしゅぎへん (さんぶんし)
地方主義篇 (散文詩)

冒頭文

最初の時代 眞青(まつさを)な海のうへに夏のやうでもなく、秋のやうでもなく、慥かに春の日がその華かさが更に、烈しいとでも言ひたい位の正午の光を受けて、北海道通ひの蒸汽船が二艘、遙か遠くを煙りを吐いて走つてゐる。わたしは今にその玩具のやうに小さいながら、黒びかりする船の姿と、吃水面際の赤い彩(いろど)り、薄くたなびいた煙り、またはこれ等一切を取りまく、春光(はるび)のもとの明色(めいしよく

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 日本現代文學全集 54 千家元麿・山村暮鳥・佐藤惣之助・福士幸次郎・堀口大學集
  • 講談社
  • 1966(昭和41)年8月19日