かれくさ
枯草

冒頭文

花も実もなき枯草の一篇わが親愛なる諸兄に捧ぐ 毒も罪も 草に咲くさへ 毒の花 罪の花みな 紅からむ 羽うるはしき 例の童(こ)が 罪の矢ならば 美(よろ)しかろ 唇(くち)にふれなば 倒るべき 毒の花なら 甘からむ 村の平和 雲の香(か)沈む有明の 月の森よりそと出でて 麦の緑の岡に立ち 見るよ平和の村の朝 霞の中に黄金色(かねいろ

文字遣い

新字旧仮名

初出

村の平和「労働世界」1902(明治35)年7月3日、鬼のお主「常総新聞」1905(明治38)年1月1日、花壇の春「暗潮」1903(明治36)年9月

底本

  • 定本 野口雨情 第一巻
  • 未来社
  • 1985(昭和60)年11月20日