てがみ |
| 手紙 |
冒頭文
野田君 また惡いさうだね。だから言はないこつちやない。ぢつと寢てゐたまへ。病氣はこつちで辛抱強く馴らしてやるがいいんだ。一度馴れてしまつたら、こんなに可愛い奴はない。 池谷さんが死んだんでこれからお葬式に行くところだ。時間が半端なので、いまコロンバンで、珈琲をのみながら、この手紙を書いてゐるんだ。 前から君に「オフェリヤ遺文」のことを何か書けと言はれてゐるので、何か書かう書かうと思つて
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「ヴアリエテ 第四号」三才社、1934(昭和9)年1月1日
底本
- 堀辰雄作品集第四卷
- 筑摩書房
- 1982(昭和57)年8月30日