みち

冒頭文

○○郡教育会東部会の第四回実地授業批評会は、十月八日の土曜日にT——村の第二尋常小学校で開かれる事になつた。選択科目は尋常科修身の一学年から四学年までの合級授業で、謄写版に刷つた其の教案は一週間前に近村の各学校へ教師の数だけ配布された。 隣村のS——村からも、本校分校合せて五人の教師が揃つて出懸ける事になつた。其の中(うち)には赴任して一月と経たぬ女教師の矢沢松子もゐた。『貴方もお出でに

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新小説 第十五巻第四号」1910(明治43)年4月1日

底本

  • 石川啄木全集 第三巻 小説
  • 筑摩書房
  • 1978(昭和53)年10月25日