えどがわしとわたし
江戸川氏と私

冒頭文

はじめて江戸川氏の作品に接したのは、大正十一年の夏頃ではなかったかと思う。「新青年」の森下氏から同君の「二銭銅貨」と「一枚の切符」を送って来て、日本にもこれほどの探偵小説が生れるようになったから、是非読んで下さいとの事であった。早速「二銭銅貨」を読んだところが、すっかり感心してしまって、森下氏に向って、自分の貧弱なヴォカブラリーを傾け尽して、讃辞を送ったのであった。そうして「二銭銅貨」が発表された

文字遣い

新字新仮名

初出

「大衆文藝」1927(昭和2)年6月

底本

  • 江戸川乱歩 日本探偵小説事典
  • 河出書房新社
  • 1996(平成8)年10月25日