はるのつくばさん
春の筑波山

冒頭文

追羽子をつくばの山に上らむと思ひたちしは、明治二十四年の夏、富士山にのぼりし時の事なるが、荏苒たる歳月、つくばねの名に負ひて、ひい、ふう、みい、よ、いつ、六歳を數へ來て、都は春の風吹き、山色翠を添ふる今日この頃、少閑を得て、遂に程に上る。 横山達三、澤田牛麿の二子、午前五時迄に來りて余を誘ふ筈なれば、寢過ごしてはならずと、心して寢たれど、曉を覺えずといふ春眠いぎたなく、六時にいたりて、やつと

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 桂月全集 第二卷 紀行一
  • 興文社内桂月全集刊行會
  • 1922(大正11)年7月9日