ほんやくのくしん
翻訳の苦心

冒頭文

翻訳で文名を売る位ひズルいことはない、他人の思想で、他人の文章で、左から横に書たものを、右から堅に器械的に引直すだけの労だらう、電話機や、写字生と大して相違する所はない、と語る人がある、少しも翻訳をしたことのない人、殊に外国文を読まぬ人にコンな考へを持つ者が多い。 是れ大なる謬りである、思想は別として、単に文章を書く上から云へば、翻訳は著述よりも遥かに困難である、少くとも著述に劣る所はな

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻45 翻訳
  • 作品社
  • 1994(平成6)年11月25日