とおののきぶん
遠野の奇聞

冒頭文

近ごろ近ごろ、おもしろき書を読みたり。柳田国男氏の著、遠野物語なり。再読三読、なお飽くことを知らず。この書は、陸中国上閉伊郡(かみへいごおり)に遠野郷とて、山深き幽僻地(ゆうへきち)の、伝説異聞怪談を、土地の人の談話したるを、氏が筆にて活(い)かし描けるなり。あえて活かし描けるものと言う。しからざれば、妖怪変化(ようかいへんげ)豈(あに)得てかくのごとく活躍せんや。 この書、はじめをその

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成8
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年5月23日第1刷