うりのなみだ
瓜の涙

冒頭文

一 年紀(とし)は少(わか)いのに、よっぽど好きだと見えて、さもおいしそうに煙草(たばこ)を喫(の)みつつ、……しかし烈(はげ)しい暑さに弱って、身も疲れた様子で、炎天の並木の下に憩(やす)んでいる学生がある。 まだ二十歳(はたち)そこらであろう、久留米絣(くるめがすり)の、紺の濃く綺麗(きれい)な処は初々(ういうい)しい。けれども、着がえのなさか、幾度も水を潜(くぐ)ったらしく、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成7
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1995(平成7)年12月4日第1刷