クロオデルの「のう」
クロオデルの「能」

冒頭文

ポオル・クロオデルが日本に滯在中に書いた「日のもとの黒鳥」(L'Oiseau Noir dans le Soleil Levant)といふ本も、ときどき取り出して見てゐる本の一つである。この本の題名に使はれてゐる何か象徴的な感じの黒鳥といふのは、實はクロオデルの洒落なのださうだが、そんなところもなかなか好ましい。いろいろ好い論文や小品が集められてゐるが、僕が屡〻この小さな本を手にすることのあるのは

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝復興」1937(昭和12)年7月1日

底本

  • 堀辰雄作品集第五卷
  • 筑摩書房
  • 1982(昭和57)年9月30日