「くろがねしゅう」
「鉄集」

冒頭文

たしかシングであつたと思ふ。その詩集の序文中で、自分の詩が少數の仲間に讀まれるのみならず、丈夫(ますらを)や盜賊や、坊主どもにも讀まれて欲しいと云ふやうなことを云つてゐた。 この「鐡集」の詩人のねがひも或は其處にあるかも知れない。 この詩集の中で位、僕はこの詩人の不敵な面構へを見たことはない。あまりに眞劍なので、殆ど出鱈目さと面を突き合はせてゐる。あまりに強烈な詩なので、殆ど惡

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 堀辰雄作品集第五卷
  • 筑摩書房
  • 1982(昭和57)年9月30日