はんしちとりものちょう 52 ようこでん
半七捕物帳 52 妖狐伝

冒頭文

一 大森の鶏の話が終っても、半七老人の話はやまない。今夜は特に調子が付いたとみえて、つづいて又話し出した。 「唯今お話をした大森の鶏、鈴ヶ森の人殺し……。それと同じ舞台で、また違った事件があるんですよ。まあ、ついでにお聴きください。御承知の通り、江戸時代の鈴ヶ森は仕置場で、磔刑(はりつけ)や獄門の名所です。それですから江戸の悪党なんかは『おれの死ぬときは畳の上じゃあ死なねえ。三尺高い木

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(四)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1986(昭和61)年8月20日