「かみがみのへど」
「神々のへど」

冒頭文

室生さんのこの頃のお仕事ぶりは、私などのやうなずつと昔からの側近者にとつても、本當に驚嘆の他はありませぬ。立派なお仕事が次から次へとお出來になる、——その何と云ひますか、製作力の旺盛なことは、それもただはげしいと云ふばかりでなく、實によくコントロオルのとれてゐることは、作家として實にいい生活をなさつていらつしやるからだと思ひます。——私などがふだん接してそのお仕事ぶりを見てゐますと、實に室生さんは

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「文藝通信 第三巻第四号」1935(昭和10)年4月

底本

  • 堀辰雄作品集第五卷
  • 筑摩書房
  • 1982(昭和57)年9月30日