いこう 01 「いこう」ふき
遺稿 01 「遺稿」附記

冒頭文

この無題の小説は、泉先生逝去後、机辺の篋底(きょうてい)に、夫人の見出されしものにして、いつ頃書かれしものか、これにて完結のものか、はたまた未完結のものか、今はあきらかにする術(すべ)なきものなり。昭和十四年七月号中央公論掲載の、「縷紅新草(るこうしんそう)」は、先生の生前発表せられし最後のものにして、その完成に尽(つく)くされし努力は既に疾(やまい)を内に潜めいたる先生の肉体をいたむる事深く、そ

文字遣い

新字新仮名

初出

「文藝春秋」1939(昭和14)年11月号

底本

  • 文豪怪談傑作選 泉鏡花集 黒壁
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2006(平成18)年10月10日