わたしのせいかつ
私の生活

冒頭文

あんまり早く起きたところで仕方がないから、それに今でもよく徹夜するほど夜更しをする性分の私だから、自分ながら感心するほど悠然として朝寝をする。といっても此頃で八時九時には起きる。起きる直ぐ、新聞を丸めた上へ木炭を載せかけた七輪を煽ぎ立てる。米を洗う、味噌を摺る。冬の水は冷たい、だから肉体労働をしたことのない私の手はヒビだらけだ。ドテラ姿で、古扇子で七輪を煽いでいる、ロイド眼鏡のオヤジの恰好は随分珍

文字遣い

新字新仮名

初出

「「三八九」第弐集」1931(昭和6)年3月5日

底本

  • 山頭火随筆集
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 2002(平成14)年7月10日