はいくにおけるしょうちょうてきひょうげん
俳句に於ける象徴的表現

冒頭文

井泉水氏は印象詩乃至象徴詩としての俳句について屡々語られた。しかし俳句に於ける象徴の本質に就ては説かれない。筆端が時々此問題に触れたとも言うべき程である。私は此の根本的説明に接するを待つよりも、こういう問題はお互に協力して研究すべきものではないかと思う。 病雁の夜寒に落ちて旅寝かな        芭蕉 僅かの花が散りければ梅は総身に芽ぐみぬ  井泉水 わが足跡人生ひてわれにつゞく

文字遣い

新字新仮名

初出

「樹 八号」1914(大正3)年12月

底本

  • 山頭火随筆集
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 2002(平成14)年7月10日