そうもくとう
草木塔

冒頭文

茶の花 庵のまわりには茶の木が多い。五歩にして一株、十歩にしてまた一株。 私は茶の木を愛する、その花をさらに愛する。私はここに移ってきてから、ながいこと忘れていた茶の花の趣致に心をひかれた。 捨てられるともなく捨てられている茶の木は『佗びつくしたる佗人』の観がある。その花は彼の芸術であろう。 茶の木は枝ぶりもおもしろいし、葉のかたちもよい。花のすがたは求むと

文字遣い

新字新仮名

初出

「三八九 第五集」1933(昭和8)年1月20日

底本

  • 山頭火随筆集
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 2002(平成14)年7月10日