じゅっかい
述懐

冒頭文

——私はその日その日の生活にも困っている。食うや食わずで昨日今日を送り迎えている。多分明日も——いや、死ぬるまではそうだろう。だが私は毎日毎夜句を作っている。飲み食いしないでも句を作ることは怠らない。いいかえると腹は空いていても句は出来るのである。水の流れるように句心は湧いて溢れるのだ。私にあっては生きるとは句作することである。句作即生活だ。 私の念願は二つ。ただ二つある。ほんとうの自分

文字遣い

新字新仮名

初出

「広島逓友」1938(昭和13)年8月

底本

  • 山頭火随筆集
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 2002(平成14)年7月10日