しろいはな
白い花

冒頭文

私は木花よりも草花を愛する。春の花より秋の花が好きだ。西洋種はあまり好かない。野草を愛する。 家のまわりや山野渓谷を歩き廻って、見つかりしだい手あたり放題に雑草を摘んで来て、机上の壺に投げ入れて、それをしみじみ観賞するのである。 このごろの季節では、蓼、りんどう、コスモス、芒、石蕗(つわぶき)、等々何でもよい、何でもよさを持っている。 草は壺に投げ入れたままで、そのま

文字遣い

新字新仮名

初出

「愚を守る 初版本」1941(昭和16)年8月

底本

  • 山頭火随筆集
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 2002(平成14)年7月10日