ざっき
雑記

冒頭文

私には私らしい、庵には庵らしいお正月が来た。明けましてまずはおめでとうございます、とおよろこびを申しあげる。門松や輪飾りはめんどうくさいから止めにして、裏山から歯朶を五六本折ってきて瓶に挿した。それだけで十分だった。 歯朶活けて五十二の春を迎へた お屠蘇は緑平老から、数の子は元寛坊から、餅は樹明居から頂戴した。 元日、とうぜんとしていたら、鴉が来て啼いた。皮肉な年

文字遣い

新字新仮名

初出

「「三八九」第五集」1933(昭和8)年1月20日

底本

  • 山頭火随筆集
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 2002(平成14)年7月10日