あかいつぼ(に) |
赤い壺(二) |
冒頭文
自分の道を歩む人に堕落はない。彼にとっては、天国に昇ろうとまた地獄に落ちようとそれは何でもない事である、道中に於ける夫々(それぞれ)の宿割に過ぎない。 優秀な作品の多くは苦痛から生れる。私は未だ舞踏の芸術を解し得ない。私は所謂、法悦なるものを喋々する作家の心事を疑う。此意味に於て、現在の私は『凄く光る詩』のみを渇望している。 涙が涸れてしまわなければ、少くとも涙が頬を流れないよ
文字遣い
新字新仮名
初出
「層雲 大正五年二月号」1916(大正5)年2月
底本
- 山頭火随筆集
- 講談社文芸文庫、講談社
- 2002(平成14)年7月10日