ぎょうこつき 06 きたきゅうしゅうぎょうこつ
行乞記 06 北九州行乞

冒頭文

六月三日 (北九州行乞) 一年ぶりに北九州を歩きまはるべく出立した、明けたばかりの天地はすが〳〵しかつた、靄のふかい空、それがだん〳〵晴れて雲のない空となつた、私は大股に歩調正しく歩いていつた。 嘉川を過ぎると峠になる、山色水声すべてがうつくしい、暑さも眠さも忘れて、心ゆくばかり自然を鑑賞しつゝ自己を忘却した。 十一時すぎて船木着、三時まで行乞、泊つて食べるだけの物資をめぐまれて、かしわやと

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 山頭火全集 第五巻
  • 春陽堂書店
  • 1986(昭和61)年11月30日