ぎごくげんきょう
疑獄元兇

冒頭文

とにかく向ふは検事の立場、 今の会釈は悪くない。勲績のある上長として、盛名のある君子として、礼を尽した態度であった。 わたしの方も声音から、動作一般自然であった。或ひはかういふ調子でもって、政治の実といふものを、容易に了解するかも知れん。それならわたしは、畢竟党から撰ばれて、若手検事の腕利きといふ この青年を対告(ごう)に、社会一般教育のため、こゝへ来たとも云ひ得やう。 いかなる明文制裁と雖

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 【新】校本宮澤賢治全集 第十二巻 童話Ⅴ・劇・その他 本文篇
  • 筑摩書房
  • 1995(平成7)年11月25日