〔そうれいとじゅんこく〕
〔蒼冷と純黒〕

冒頭文

冒頭欠 たいエゴイストだ。たゞ神のみ名によるエゴイストだと、君はもう一遍、云って呉れ。さうでなくてさへ、俺の胸は裂けやうとする。 純黒 俺の胸も裂けやうとする。おゝ。町はづれのたそがれの家で、顔のまっ赤な女が、一人で、せわしく飯をかき込んだ。それから、水色の汽(き)車の窓の所で、瘠せた旅人が、青白い苹果にパクと噛みついた。俺は一人になる。君は此処から行かないで呉れ。 蒼冷 ありがたう。判った

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 【新】校本宮澤賢治全集 第十二巻 童話Ⅴ・劇・その他 本文篇
  • 筑摩書房
  • 1995(平成7)年11月25日