あけがた
あけがた

冒頭文

おれはその時その青黒く淀んだ室の中の堅い灰色の自分の席にそわそわ立ったり座ったりしてゐた。 二人の男がその室の中に居た。一人はたしかに獣医の有本でも一人はさまざまのやつらのもやもやした区分キメラであった。 おれはどこかへ出て行かうと考へてゐるらしかった。飛ぶんだぞ霧の中をきいっとふっとんでやるんだなどと頭の奥で叫んでゐた。ところがその二人がしきりに着物のはなしをした。

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 【新】校本宮澤賢治全集 第十二巻 童話Ⅴ・劇・その他 本文篇
  • 筑摩書房
  • 1995(平成7)年11月25日