閑雅な孟宗の枯れ色は私にとつて何より親しく感じられる。私は階上の書斎から硝子戸越しに朝夕その眺めを楽しんでゐる。どの窓を眺めても孟宗がしだれてゐる。寒くて風の少ない日などはその揺れる秀(ほ)さきばかりがこまかな光りを反(かへ)してゐる。 聖ヶ獄にも斑ら雪が残つてゐる。庭の寒枇杷も冷(ひ)えきつてよい。時とすると、思ひもかけず、ちらちらと牡丹雪がふつてくる。さうしたしつとりとした曇り日もうれしい