むめいかいのいっせき
無名会の一夕

冒頭文

この頃の短い小説には、よく、若い人達の自由な集會(あつまり)——文學者とか、新聞雜誌の記者とか、會社員とか、畫家とか、乃至は貧乏華族の息子とか、芝居好の金持の若旦那とか——各自(めい〳〵)新しい時代の空氣を人先に吸つてゐると思ふ種々(いろ〳〵)の人が、時々日を期して寄つて、勝手な話をする會の事を書いたのがある。さういふのを讀む毎に、私は「ああ、此處にも我々のやうな情ない仲間がゐる。」と思はずにはゐ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 啄木全集 第十卷
  • 岩波書店
  • 1961(昭和36)年8月10日