のうそんのちゅうとうかいきゅう |
| 農村の中等階級 |
冒頭文
近頃農村の經營といふ事に關する著書が月に一册か二册は缺かさず出版されてゐる。新聞や雜誌にも同じ問題がちよい〳〵繰返されてゐる。かういふ傾向は、不知不識(しらずしらず)の間に爲政者の商工偏重の政策と對照して、我々批評家の地位に立つ者に一種の興味を與へる現象である。産業時代と謂はるゝ歐洲の近代文明は、既に隨處に農業の不振、農村の疲弊を馴馳した。同じ弊害は今や漸く我邦にも現はれてゐる。さうして日を逐うて
文字遣い
旧字旧仮名
初出
底本
- 啄木全集 第十卷
- 岩波書店
- 1961(昭和36)年8月10日