ゆめがたり
夢がたり

冒頭文

六月のある素晴らしい日のこと——ただし素晴らしいと月並みなお断りをしたのは、列氏で二十八度という温度だったからですが——その素晴らしい六月のある午後のこと、どこもかしこもきびしい暑さでした。なかでもつい四五日まえに刈り入れの済んだ乾草が、禾堆(いなむら)をなして並んでいる庭の草場は、またひとしおの暑さでありました。というのはその場所が、茂りに茂った桜畑で、風上をさえぎられていたからなのです。生きと

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • あかい花 他四篇
  • 岩波版ほるぷ図書館文庫、岩波書店
  • 1975(昭和50)年9月1日