しょうわよねんのぶんだんのがいかん
昭和四年の文壇の概観

冒頭文

はしがき 社会現象の過程は、全体性においてのみ完全に理解することができるので、それを部分的に、局所的に理解することは不可能である。だから、昭和四年の文壇に起こった現象の過程も、他の社会現象との連関において、また、少なくも最近数年間の過程との連関においてのみ、はじめて理解することを許されるであろう。だが、ここではそういう企図ははじめから放擲(ほうてき)せねばならぬ。私はただ若干の特徴的な事

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮 第二六年第一二号」1929(昭和4)年12月号

底本

  • 平林初之輔探偵小説選Ⅱ〔論創ミステリ叢書2〕
  • 論創社
  • 2003(平成15)年11月10日