にほんのきんだいてきたんていしょうせつ ――とくにえどがわらんぽしについて――
日本の近代的探偵小説 ――特に江戸川乱歩氏に就て――

冒頭文

一 探偵小説を、一般の小説から、特にきりはなして、これを特殊の眼で見、特殊の批評の尺度をもってこれにのぞみ、あたかも、探偵小説が、先天的に、特殊の価値を約束されているように見做すのは、間違いであると私は考える。 たとえば、コナン・ドイルが、結局イギリスにおいて二流の作家に過ぎないと仮定しても、それだから探偵小説が第二義的の芸術価値をしかもたぬとは言えない。それはコナン・ドイルの芸術

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年 第六巻第五号」1925(大正14)年4月号

底本

  • 平林初之輔探偵小説選Ⅱ〔論創ミステリ叢書2〕
  • 論創社
  • 2003(平成15)年11月10日