「はなやかなざいか」さくしゃとして
「華やかな罪過」作者として

冒頭文

短い作品で一つの問題を提出するといふやうなことは難しいことだ。況んや僕のやうな素人には小説のこつがわからないから、事件や主人公の性格やを一つの問題に向つてピントを合はせることができない、だからあの小説の場合では、普通の道徳からいへば、あゝいふ事情にある男がそも〳〵最初女に恋をしたのが正しくないだらうし、殊にあれくらゐのことで死んでしまつたりするのは猶更らよくないだらう。女の方は僕としてはあゝするよ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「朝日 一巻一一号」1929(昭和4)年11月号

底本

  • 平林初之輔探偵小説選Ⅰ〔論創ミステリ叢書1〕
  • 論創社
  • 2003(平成15)年10月10日