ブリユンチエールのことばについて
ブリユンチエールの言葉について

冒頭文

探偵小説を広義に解するならば、実社会において比較的稀にしか起こらぬ出来事を取り扱った小説であると言えましょう。同じ恋愛を取り扱っても、普通の程度、普通の径路を辿る恋愛事件を取り扱わないで、程度が病的であるとか径路が数奇を極めているとかでなければ探偵小説とはなりにくいように思われます。 ところで、かような小説は普通の事件や心理状態を取り扱ったものと比べて価値が少ないという議論があるのであり

文字遣い

新字新仮名

初出

「探偵趣味」1925(大正14)年9月号

底本

  • 平林初之輔探偵小説選Ⅱ〔論創ミステリ叢書2〕
  • 論創社
  • 2003(平成15)年11月10日